アルゼンチンタンゴの黄金期を築いたスター達が一同に集結して開催された、かつて以上とも呼べるであろう、一夜限りの世紀のコンサートの、本番とその準備過程を描いたドキュメンタリー。
準備段階では、かつての思い出話をしたり、音楽を始めるに至ったエピソードなんかを交えた様子を紹介。
どのマエストロも70-80歳で、アルゼンチンタンゴの全盛期など知らない私が見れば、ただのおじいちゃん達だ。
本番はまさに世紀のコンサートと呼ぶに相応しい、迫力とテクニックと哀愁と、、いろんなものが最高潮に混ぜ合わさった素晴らしいものだった。
素晴らしいものを見せられた時にザワザワっとなる感じがきた。
ライブという生ものの与えるエネルギーはすごいといつも思う。
アルゼンチン人にとってのタンゴって、生活の一部なんだろう。
生活の一部というか、皆に共通するアイデンティティの一部というか。(なんかもっといい言葉が在りそうだけど思いつかない。帰属するところ、みたいな。)
「タンゴだけは、欧州に渡さなかった」という表現があった。
反米(欧米)意識に加え、圧政の時代もあってか、込もったエネルギーとか哀愁とかが根底にあって、やはりそういうものは人の心を揺さぶる力を持つ。
「ブエノスアイレスには失うものが何もない者たちがやってきて音楽に身を捧げたのだ」と。
私は、タンゴといえばピアソラのリベルタンゴが好きでよく聴くが、やはり途中でパリに渡りそこで花開いたピアソラの音楽とは趣が全く違う。
今回思ったけど、家でCDは聴かないけどライブを見たい、というのは結構あるかも。
クラシックも家ではほとんど聴かないけれど、たまに生を聴きたい。
以前ベルリンフィルのドキュメンタリーも観たけど、それはそれは過酷な演奏ツアーだった。
終身雇用のまったく逆の、ギリギリのところから生まれる世界トップレベルの芸術。
才能を与えられた人たちが作り出す芸術を見ない手はない。チケットが取れるなら。。
そういえばオペラ座の踊り手たちは公務員扱いなんだってね!今思い出したけど。
いや、だからって終身雇用でもなんでもないけどさ。