ウッディアレン映画は何本か見ているのだが、登場人物の絡みが複雑だったり、ある特定の層(インテリ)向けのこ洒落たジョークなど、いい意味で細かい味付け、悪く言えば、全体として見た時にその云わんとしていることがぼやけているような。
そんな中この作品は、私がサマンサ・モートン好きというのも大きいが、単純かつ普遍的な中にもじんわり残る独特の後味、が良かったのではないかと思う。
フェイクドキュメンタリー?という手法の是非はあるようだが、その辺はウッディアレンならではのご愛敬、ということで、目くじら立てるほどでもないのではないだろうか。
永遠に失って初めて気づく大切なもの、という誰もが経験する苦い思い出。
失ったからこそ永遠になり、失ったからこそ気づくことが出来たこと。
人生はいつも、そんな意図しないことから派生する新たな価値観の連続ですよね。
ショーン・ペン演じる不埒なジャズギタリスト、強がってわが道を行くしか自分を保てない弱さと、だけどとことんまで突き放せない優しさ、がなんともせつないです。
そしてサマンサ・モートン、かわいすぎる!!!おバカ加減と、それでもせつないとか悲しいとか怒りとかの感情は持ち合わせている、という難しい役どころをみごとにこなしています。
「ギター弾きの恋」1999/米
監督:ウッディ・アレン
出演:ショーン・ペン サマンサ・モートン 他
配給:ギャガ・コミュニケーションズ