この映画は高校生の時に大好きで、今回はデジタルリマスター版とのことで劇場で鑑賞することができた。
本編が始まる前に、現在のジェーン・バーキンがこの映画について語っているのがとても良かった。
映画の内容は、ゲイのカップルと女の子(ジェーン)の三角関係の話だが、そのこと(ゲイの1人と女性の恋愛)について、「普段はお茶も飲みにいかないような関係の二人が恋に落ちることもある、ということ」と言っていた。
人と人には思いもよらない可能性があって、それはとても素敵なことだということだ。
ジェーン・バーキン、歳を重ねて、どんどん満ち足りた幸せそうな顔になってくる。
懐かしそうにセルジュのことを話す様子に、あぁ年を取ったらこんな風になりたい、と素直に思う。
あれは2003年だったか、渋谷bunkamuraにジェーン・バーキンを観に行った。
やっと取れた2階席から小さくしか見えなかったけれど、あの震えるような歌声、穏やかで優しい人柄は十分伝わってきた。
今はアウンサンスーチーさんの解放運動などにも精力的に携わっている。
映画にはいろんなタイプがあって、これは思考から離れ、ただジェーン・バーキンの美しさと、音楽と、ゲイと女の子のアンバランスな恋愛を楽しむだけ。
セルジュも、これは絵画的な映画だ、と言っていたそう。
鏡のアルファベットとジェーンの目が重なるシーン、ちりとりを持って見上げるシーン、裸の二人が水面を漂うシーン、ラストの背面から抱き合うシーンetc・・は、まさに絵画。目に焼き付いて離れない。
荒涼とした大地を走る道沿いにある、寂れたカフェ。
映画によっては、そこにガソリンスタンドがあったり、モーテルがあったり。
バグダッドカフェや、パリテキサス、などにも共通するルート66的なあの感じ。
何がそんなに人を引き付けるのだろう。
どうしてあの乾いた感じに心惹かれるのだろう。
誰もが立ち寄り、名前や肩書など忘れて、ただそこにいることを受け入れ合う、、、とかなんとか考えてみたけど、そんな理屈抜きに、ただあの空気感に惹かれるんだよなぁ。
でも湿潤には湿潤に、心惹かれるよね。
つまりは「空気」だけがもつ力にいつでもやられっぱなしな訳です。
そしてその「空気」を感じさせる映画はただそれだけで見る価値があるのです。
この映画について、たまに「内容のない映画」とかストーリーの良し悪しを書いているのを見ると笑ってしまう。
ストーリーを説明するなら「ゲイと女の三角関係」はい終わり。
今週一週間のみのレイト上映、あと2回くらい観たいな。
1976/仏