映画「バオバブの記憶」

バオバブという神聖な木を通して、そこで暮らす村人たちの日常を撮ったドキュメンタリー。

なかなか見ることのできないアフリカの村の生活に入り込んだドキュメンタリーで、興味深かった。
一夫多妻制で、奥さんが二人、子供もいっぱい。奥さん二人が仲が良かったのが面白いというか微笑ましい。
重要な働き手の子供は、本当はフランス語学校に通いたいんだけど、地元のイスラム系の学校にたまに行くくらい。
兄弟でも、妹はフランス語学校に通わせてもらえているのに、メイン出演のモードゥ♂は忙しくて父親のOKがもらえない。
そこは結構意外で、イスラム教って女に教育なんてという風潮かと思いきや、学校の先生も女性だったし、中東やアフガンなどとはまた違う、土着の文化が強いのかもしれない。
お祭りでも、女の人が前に立ってみんなの前でガンガン踊っていたし。
女性強し、母強し、という感じだった。

今は、アフリカも都会化が進み、かつてはバオバブがいっぱい生えていたところにも、切り倒されてビルがあったり大きな看板が立ったりしている。
バオバブから恩恵を受け、バオバブと共に暮らしてきたアフリカも変わりつつあるようだ。

バオバブの精の言葉を代弁する祈祷師のような人が病気の治療をするシーンがあり、沖縄はガジュマルだし、世界中に共通するものなのだろう。
精霊がいる木の形というのもちょっと似ているみたいだ。

「バオバブの記憶」2009/日本
監督:本橋成一