人間の可笑しさ、悲しさ、つまり愛すべき滑稽さを描いた作品。
原作、本谷有希子。
細かく鋭い人間観察眼を持っている人が描くものは、おもしろい。
いるいるこういう人、というだけでなく、普段言葉などで描写するのが難しい微妙なところを突いてくる。
バランスに欠けたりすると悪口っぽくなってしまうんだろうけど、うまい具合に、どの人にも理解できる部分を残している。
愛情ではなく、過去のある出来事を理由に兄弟の振りをしながら奇妙な共同生活を送る男女に、浅野忠信演じる山根と、美波演じるななせ。
その隣に越してくるのが、山田孝之演じる番上と、小池栄子演じるその妻あずさ。
「いつか絶対復讐してやるからな」「今日は復讐思いついた?ダメだった?そっかぁ、おやすみ」という会話を毎晩二段ベッドの上下で繰り返し共同生活を送る山根とななせ。
そして山根は屋根裏からいつもななせを覗き見している。
一方、あずさには、高校時代彼氏がななせと関係を持ってしまったという苦い過去がある。
ななせは人に嫌われる事を極度に恐れ、愛想笑いや人に合わせるだけでなく、セックスも断らないという女だった。
今回も旦那がななせに興味を持ち始めて、、、
「永遠の愛情は疑ってしまうけど、永遠の憎しみなら信じられる」
ってニクイ台詞だよなーうまい。
永遠の憎しみとか言いながら、その憎しみとは、うまく表現できない愛情が形を(名前を)変えたものというか。俗にいう憎しみとはちょっと違って、一緒にいる理由にもなっていて。
人って複雑なのねー。
こういうのを見たら、私はもっと単純に出来ている気がする。
今回のびっくりは山田孝之。
この人こんないい役者さんになったんだーいつの間に。
しかも、今回すごいいやらしい役なんだけど、素ですか??という感じ。
あんなエロ目できるんだ。
そのシーンになったらあまりにリアルなやらしさに、ドギマギしてしまった。
なんかね、世の中の男子の対極を風刺してるんですな。
女の子を簡単に誘って簡単に食っちゃえる男子はこんな感じで進めていて、一方何も出来ないタイプの男子はこんな感じで何も出来ないんだろうなーという。
女子二人も同じく対極なんだけど。
テンポもいいし、台詞もいいとこ突いてくるし、キャスティングもいいし、相対性理論の主題歌もかわいいし、全体的にまるー