映画「太陽はひとりぼっち」

60年代の映画を観たくてこちらをチョイス。
ちと気分とは違いましたが、感じたことを。

恋愛映画と思いきや、人生や愛の虚しさを表現した乾いた映画だった。
どんなに隣に好きな人がいても絶対的な孤独からはどうあがいても逃れられない、そして関係が色褪せてゆくのは必至で、そこには虚しさしか感じない。
気持ちを聞かれても出てくるのはいつも「わからない…」

明日、あさって、その次の日…
見つめあいながら先の先の先の約束まで交わしている最中に、それはもうやってこないことに気づいている。

結局、絶対的なものを求めるから得られないことが虚しくて絶望してしまうんですよね。
わかるんですよ、痛いほどわかる。
そのゼロかヒャクか思想に一旦捕まったら最後、ヒャクはないからゼロしかない。
でもそこで思うのは、それでも我々は生きていかねばならないということ、ゼロでもヒャクでもないところで。

また、劇中の、株の取引所の異様な盛り上がり、BMWの話題、とそれに対する主人公ヴィットリアの冷めた表情。世の中に対するメッセージがふんだんに盛り込まれている。

監督は社会主義者だったようだが、愛は不毛、物質主義は浅はか、となれば、じゃあ長い人生どうすりゃいいのさ、という気分になってくる。
こういう暗い思想から抜けられなくなっている時の荒療治にはいいのかも、なんて。

1962年/フランス・イタリア
監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
出演:モニカ・ヴィッティ アラン・ドロン