東京でパッとしないOL生活を送る佐和子。
仕事もやる気なし、男運もなし。
口癖は「しょうがない」と「どうせわたしなんて中の下ですから」。
そんな中、しじみ工場を営む父親が倒れ、一人娘の佐和子は地元に帰りしじみ工場を継ぐことになる。
18で家出同然で家を出ている佐和子に対する風当たりは強く、また一緒に帰った子持ちの彼氏ともうまくいかず、、、
すべてが惰性で、なんとなく生きていくこともできる。
前半の東京でのOL生活はまさにそう。
でもそれが悪いわけではなくて、そんな自分を受け入れながら、淡々と生きている。
アツイのとかウザイし、感動とかいらないし。
そんな状況が自分の意に反して変わった時、ゆっくりと佐和子自身も変わってゆく。
「しょうがない」「どうせわたしは中の下」
前半でのこの口癖は、ダメな自分を受け入れるために、ネガティブな意味合いで使われている。
そして後半、同じ口癖が、こうなったらやるしかない!中の下なんだし、やってやるしかない!という正反対の響きをもつ。
父親との関係、彼氏の連れ子との関係、パートさんたちとの関係。
すべてに静かな愛が芽生え、ありきたりだが、人生捨てたもんじゃないなぁという気分になる。
邦画で久々に号泣してしまった。
満島ひかりは最近注目株だが、今回もとっても良かった。
淡々とした感じのところも今の若者って感じが良く出ていていいし、感情を爆発させるところがまた渾身で胸を打つ。そのコントラストが。
そして岩松了!
今回も飛ばしてます。ほんっと絶妙だよなー
父親役の志賀廣太郎も良かったし、子役も上手だったし、パートのおばさんたちも本気だったし、田舎の幼馴染の無名ちゃんさえも良かった。キャスティングが大変◎。
この映画はPFF(ぴあフィルムフェスティバル)2007でグランプリを受賞した石井裕也監督(若干26歳!)の商業映画デビュー作です。
これはほんと、笑いも秀逸で、涙もありで、オススメ。