私はいつからか、人生においては何かを、それが例え小さなものだとしても、何かを成し遂げるべきだと思うようになっていた。
常に心の片隅ではそれを探していたように思う、いや片隅どころか、今となっては心の結構な割合を占めていたのではないかと思う。
それはどんな形でも良かった。打ち込める仕事だとしても、何かしらの創作活動だとしても、心を傾けるボランティア活動だとしても。
しかしそんな思いとは裏腹に、それは一向に見つかる気配がなかった。
日本を出て海外に居を移しても状況は変わらなかった。
見える景色が変わり、食べるものが変わり、関わる人間が変わっても、それはいつも心の片隅、と言うにはいささか大きすぎる部分を占めていた。
そんな中、私は事故に遭うのである。
事故の詳細は割愛するが、そこから這い上がってくる中で見えたものがある。
生きているだけでいいんだ。
生きているだけで、私たちは日々ささやかな選択を重ねている。
何を食べるか、誰と過ごすか、何を美しいとするか、どう伝えるか・・・
その一つ一つが自分らしさであり、そのささやかなピースの寄せ集めが人生であった。
人生とは営みであったのだ。